活用された方の声
VOICE


作り手にドラマがあれば、買い手にもドラマがある。
赤坂金型彫刻所
三代目赤坂兵之助さん
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1940年創業の、射出成形のための金型を製造されている赤坂金型彫刻所様。

BtoCに挑戦され、どのように補助金を活用されたのか。熱い思いを伺いました。

 

歴史ある、確かな技術。

─ 赤坂様のされている事業内容や活動について教えていただけますでしょうか。

赤坂金型彫刻所は、私の祖父が1940年に東大阪で立ち上げた会社です。和歌山の田舎から大阪に出てきて彫刻の修行を積んでいましたが、戦争を経験した後、「ものづくりの技術は、日本の復興の為に使わなければならない」とした祖父は、アメリカ産の樹脂が入ってくる中で日本でも射出成形が始まりだしたのをきっかけに、射出成形金型事業を始めることになりました。その後父が継ぎ、私で三代目です。いまは射出成形するための金型を作ることと、彫刻や造形を営んでおります。

 

 

これは、今回の補助金とは別ですが、過去の事例になります。
日本酒のキャップ天面に、獺祭のロゴマーク部分を浮き彫りにする「デザイン彫刻」をやらせて頂きました。

 

赤坂さんがつくられたもの(左)と従来のもの(右)。メリハリと迫力の違いが見て取れる。

 

また、プラスチックの射出成形のための金型制作も行っています。プラスチックは丈夫なものですが、欠点は丈夫すぎるところでもあるんです。環境に配慮した「生分解性樹脂(PLA)」と言う、石油を一滴も使っておらず、木のように朽ちていく樹脂での成形品にも取り組んでいます。

 

祖父の技術を継承した、自社ブランド。

─ 補助金活用のきっかけを教えてください。

みせるばやおですね。そこで補助金の話になって、産業政策課を紹介していただき、「ECサイトやクラウドファンディングをやっているのですが、何かありませんか」とお伺いしたところ、教えていただきました。

 

─ 具体的に何に活用されたのでしょうか

新事業展開を進めていくために必要となるコーポレートブランディング強化やコンセプト設計に関する費用や、自社製品のデザイン費に補助金を活用しました。それに加えて、自社ブランドのECサイト立ち上げも行いました。(https://cocur.jp/)。ブランディングやコンセプトなど、デザイン周りはプロにお任せするしかないので、デザイナーにお願いし、そのデザイン費用のために補助金を活用しました。「cocur」は、ジェラルミンという素材で作っており、厚さ0.3mmまで削り出して、「半月一枚刃」という先端が約0.05ミリの刃物で、「彫り込みと彫り貫き」を施しています。

 

 

自社ブランド「cocur(コクール)」。繊細で細かな掘り込み技術が施されている。

 

 

補助金を活用して立ち上げられた「cocur」ECサイト。

 

─ 実施した事業の目的や目標を教えていただけますでしょうか。

コロナ禍で本業の金型の成績が悪くなってしまい、その中で、自分にできることは何かということを考えていて、その時に祖父の彫刻の仕事が思い浮かび、商品を作ろうと考えました。ただ、それをやるにおいて金属を加工するという面は同じでも、全く別の取り組みになり、デザインを考え、設計して、削るという工程が必要になりました。デザインとコンセプトの部分は今までやってきていないことなので、プロの力を借りなければならないとおもい、デザイナーと一緒に始めました。最初のクラファンは八尾市の商品開発事業であるYAOYA PROJECTの流れで進めたのですが、予算目標を達成したため、そこから本格的に商品展開を始めました。

 

お客様に、直接伝わる嬉しさ。

─ 補助金を活用してみて良かったことを教えてください。

このブランドは、自分たちのつくりたいものをつくっていましたが、お客様のおかげで「ライフイベントギフト」になっていきました。例えば、「就職が決まった娘に送ってあげた」「離れて住む娘に、たまには父親らしいことをしたいと思い、プレゼントした」などの嬉しい言葉をいただき、人生の転換期でプレゼントしたいと感じてもらえるブランドへと広がっていきました。自分が作ったものが届いたお客様の声を聞いたら、自分はライフイベントギフトを作っているんだと実感できたのが嬉しかったですね。以前は、作り手の思いを発信しなければならないと思っていたのですが、むしろ、買ってくださる方のドラマが大切で、「作り手にドラマがあれば、買い手にもドラマがある」ということがわかりました。

 

─補助金を検討されている方へのアドバイスをいただけますでしょうか。

私自身、自分たちのやっていることが、直接お客様に伝わり、お声を聞けるということはかなり嬉しかったので、もし今後、補助金を使う人がいれば、ぜひBtoCに挑戦して欲しいです。普段の仕事でも、間接的には人のためになっているのですが、今回は直接的にお客様の声を聞けたというのが嬉しかったですね。自分の仕事がどんなことをしているのかと見つめ直すきっかけにもなり、勉強をさせていただきました。

 

Profile

赤坂金型彫刻所
三代目赤坂兵之助さん
初代・赤坂兵之助が確立した「赤坂式半月彫刻法」をもって、現代の加工機による射出成形金型、画像からの転写加工、彫刻加工、刻印製作、造形を1940年から営んでいる。

https://cocur.jp/