活用された方の声
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正確なデータ取得のために
株式会社デジック
代表取締役 上野雅弘さん
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1988年(昭和63年)創業。

小規模事業者向け生産管理システム「アシストシリーズ」の開発・製造を行っているデジック様がどのように補助金を活用されたのか、詳しくお聞きしました。

業界では珍しい組み合わせ

―業種内容、活動について教えてください

ものづくりの製造業とソフトウェア開発の2つを行っている珍しい会社です。

ものづくりではグラファイトという特殊な素材を使った高温高圧用のパッキンの製造を行っています。主に発電所などの高温な個所の漏れを止めることに使われるパッキンです。最近では発電所以外の工業用関係の製品も作っています。大手企業様から新製品の高温環境におけるパッキンの問い合わせも多くなり、200℃以上、時には1000℃近い高温に耐えうるゴムや樹脂製品に代わるパッキン部品の開発に関わっています。

ソフトウェアでは元々ものづくりを支援するシステム、CAD/CAM関連のソフトウェア開発を会社設立当初から行ってきました。当時はCAD/CAMは凄まじい勢いで世の中に普及していったので私たちも需要にお応えし発展していきました。

しかし、バブルが崩壊し、これからどうするかを悩んでいた時にお客様から生産管理システムの依頼が入りました。当時は製品が溢れるようになり、作って、売るだけでは儲からなくなっていきました。生産の徹底した管理で見える化を行い、ムダを無くし原価を下げ品質を上げ他社との競争力を高めるためには、中小規模の製造業に合った生産管理システムが必要になってくると痛感し、システムの開発を行っていきました。

努力して開発したシステムを展示会に出展し展示しても、直接的に儲けの出ない管理システムの為なのか、ターゲットとするユーザーから見向きもされませんでした。

しかし管理システムの必要性を訴え続け、少しずつ耳を傾けてもらえる様になっていき、お問合せも増えて行きました。そして管理システムの導入有無が企業の差を徐々につけていきました。現在では、企業のDX化への流れと国の補助金制度の支援もあり弊社の生産管理システムの導入数が増え、まだまだ伸びて行くと思われます。

弊社は40年近く製造業に特化したCAD/CAMシステムから生産管理システムなど様々なシステムを手掛けてきており、製造業のアナログ時代からデジタル時代への変遷に寄与してこられたと自負しています。これからも製造業にコンピュータシステムで貢献できる様努力して参ります。

 

―今回の補助金をどこで知り、活用されるきっかけを教えてください

八尾市の商工会議所からIoTを現場で実践している企業向けのイベントを企画され、八尾市にある企業に紹介したいので会社見学をさせてほしいと依頼があり快諾しました。

当日は、見学に来られた皆様に弊社の事業内容やIoTの取り組みなどを説明させていただき、その後システムを運用している製造現場も見ていただきました。

今日の生産管理システムを導入されている現場では、データを入力するのに毎度パソコンやタブレット端末を使い実績入力をするのがオーソドックスな方法です。しかし、私たちは作業者に負担なくより効率的なやり方への進化を模索し、IoT機器の必要性を説明しました。するとその様なIoT機器なら自分たちでも使いたいという期待の声が上がりました。ちょうどその頃に八尾市のメルマガから補助金の存在を知りました。八尾市立中小企業サポートセンターにも相談させていただいて補助金の申請を決意し、新しい事業の挑戦を支援してもらおうと思いました。

正確なデータ取得のために

―生産管理アシストシリーズの入力装置と分析モジュールの開発はどのような経緯だったのでしょうか?

私たちは現場主導型の生産管理システムという考えを基に製品を作りました。現場の人が正確なデータを取らないと計画を立てても予算実績管理が難しく、見える化されたそのデータも正しいかどうかもわからないこともあります。私たちは今までパソコンの前に行きバーコードリーダーで読み込み、実績報告を行っていました。けれど、それだと効率が悪いので、タブレットなどの手元にあるもので報告を行うのが良いと思い開発しました。しかし、油や作業で汚れた手でタブレットを触るわけにもいかず、何よりも入力操作のわずらわしさに抵抗があったので、専用のIoT機器(アシスト-リモコン)を開発しようと考えました。

リモコンは、作業に差し支えのない様に胸ポケットに収納できる軽くてコンパクトな設計にしました。ソフト開発、回路設計、筐体製作、部品調達、組立など全て自社で行い、ソフトウェアだけでなくハードウェアの開発販売にも今回チャレンジしました。

作業指示書のバーコード及びQRコードにリモコンをかざし、ワンプッシュで読取れます。

読込むだけの簡単操作で、どの受注、どの製品、どの工程、どの作業者、いつ開始などの

製作情報が瞬時にWiFiにて送信されデータベースに蓄積されます。

↑蓄積された実績データを元に分析を行うBIツール(企業が持つ様々なデータを分析・見える化して、経営や業務に役立てるソフトウェアのこと)の開発を行いました。

これを見れば経営者が知りたい分析データをグラフと数値データで表示されるので経営判断ができます。また、製造責任者が知りたい分析データも同様に表示されるので製造判断ができます。

新たなビジネスの構築ができた

―補助金を活用してよかったことについて教えてください。

製品開発には大きな費用が掛かるため、その費用の一部を代わりに出して頂けたのが非常にありがたいです。また、提出する事業計画を書くことによってイメージやいつまでに作るかを明確にすることができ、新たなビジネスへの挑戦と構築ができました。

 

―補助金を検討されている方へのアドバイスや一言、メッセージを頂けますでしょうか

新たなビジネスを成功に導くために是非チャレンジしてほしいです!

 

今後は事業承継と人材育成に挑戦

―会社としては今後、どういう形で展開していきたいか、もしビジョンがあれば参考までに聞かせていただけたらと思います。

今までは製造業に特化したシステムをやってきました。今後もDX化を背景に中小の製造業様に貢献できるようなIoT機器を含めた複合的なアイデア商品やサービスなどを開発し、引き続きお役に立ちたいという思いがあります。

あとは私も年齢が年齢ですので、次世代への事業承継と人材育成に挑戦しています。

今までは中途採用を主に行っていましたが、去年後半(令和4年時)から新卒採用を始めました。今後は1から新卒採用者を雇えるように会社の体制を整えていかなければなりません。しかし、私たちは新卒採用者向けの会社説明会や面接の仕方、内定やキャリアの説明や社内教育などを扱うノウハウがありません。今まではそのような仕組みがなく、現在チャレンジしている最中です。

人が来てくれるかの心配はありますが、これらの経験は決して無駄にならないため何事にも恐れずにチャレンジしていきたいです!

Profile

株式会社デジック
代表取締役
上野雅弘さん
コンピュータシステムの開発販売及び工業用パッキンの製造販売を社員一丸となって請け負っている。
柔軟な考えと新しい発想を大切にし、最近では事業承継と人材育成に力を入れている。

http://www.digic.org/