活用された方の声
VOICE

切削加工の総合エンジニアリング企業として、高度な切削加工技術を駆使し試作から量産までの高精度・高品質な部品加工と、それに用いる自社生産システムの設計製作を行っている山本精密株式会社様が、どのように補助金を活用されたのか、詳しくお聞きしました。
↑「GENTIL」は山本精密株式会社が展開する医療機器分野のブランド名
―貴社の業種内容、活動について簡単に教えて頂けますでしょうか?
当社は平成2年に創業し、これまで金属製品の切削・研削加工を中心に事業展開してきました。
創業以来“金属を削る・磨く・穴をあける技術”に注力し、精密加工技術を高度化させ、お客様の要望を的確、且つ迅速に対応することで、常に業界ナンバーワンの品質を目指し、全社一丸となって努力をしてきました。
当社の製品は油圧機器、搬送機器および医療機関分野と広範囲にわたっており、現在200社以上と取引し、40,000点を超える金属製品を小ロットから量産加工まで一括受注、生産できる体制を構築しています。
社内で培った自動化技術を外販
―今回、補助金を利用して行われたのが「自動化要望に応えるロボットシステムを外販する新規事業展開」ということですが、これはいったいどういったものなのでしょうか?
生産性を向上させるためには、製造現場の自動化が不可欠です。大企業でロボットを用いた自動化が進む中、中小企業では自動化がなかなか進んでいません。
仮にロボットを購入したとしても、ロボットにどういう動きをしてほしいか設計できる人、工作機械との連動ができる人、そのロボットを扱うことができる人がいなければ当然自動化は進みません。これらの要因が中小企業で自動化が進まない原因の一つと考えています。
このような課題を解決するために、「企業の要望に合わせたロボットシステムとハンド」といった、当社内で開発・活用してきた自動生産システムをパッケージ化して外販しようと思いました。ここで必要になるのが「検証用ロボットシステムとハンド」です。
お客さまの商機を逃さない
―「検証用ロボットシステムとハンド」とはどういったものなのでしょうか?
ロボットを用いて工程の自動化を行う場合、工程中の半製品である「ワーク」を加工装置へ着脱する事に加えて、加工後にワークを計測器にセットし寸法測定などを行う事も多くなっています。このため、ロボットの動きは複雑化していてワークを計測器にセットする時の精度も求められるようになっています。これに対応するため、ロボットシステムやハンドは動きや精度について納入前に確認・検証しておく必要があります。この検証作業は、お客様の工程を再現しつつ、条件を様々に変えながら繰り返し行います。
今回導入した検証用ロボットシステムとハンドは、これらの動きや精度を予め検証するための「ロボットシステム」と「ハンド」です。「ハンド」とはロボットの先端部分のことで、この先端部分はお客様のご要望に応じて当社で設計・製作しています。
通常は、この検証作業は納入するロボットシステムが完成してから実機で行うのですが、それでは納期が長くなりお客様の要求に間に合わない事も多くなってきています。このため、社内に検証用ロボットシステムを持ち製品が組み上がる前に検証を終えておく事を考えました。
この検証用ロボットシステムは、お客様との商談時にロボットシステム全体の動きを実際に見て頂くことで、お客さまが事前に導入システムや導入効果のイメージしやすい事も大きなメリットです。また、当社が検証用のロボットシステムを社内に持つことにより、万が一納入後にトラブルがあった際にも速やかな復旧ができる事も大きなポイントです。
このように、検証用のロボットを持てたことで、素早い納品が可能となり、お客さまとっての商機を失うことが少なくなりました。
↑実際に山本精密株式会社で稼働しているロボットシステム。
ロボットの先端部分が「ハンド」(赤丸部分)で、顧客の要望に合わせた設計を行う
↑意欲補助金を利用して導入した検証用のロボット
ユーザーの要求仕様に合わせたハンドを装着し、一連の動作を行いながら重量バランスや経路の検証を行う
―補助金を実際に活用してみた結果、どのようにお感じになれらましたか?
それまでは行政に頼る発想はありませんでした。でも、実際に八尾市の補助金を知り、採択されると、「利用できるものは利用したいし、有効的に使いたいな」と思うようになりました。
また、意欲補助金に限ったことではありませんが、どういった人がどういった基準で審査されているか、またダメだった場合、何がダメだったか情報をもらえたらなと思います。それを知ることができたら、次回に繋げるためにフィードバックもできますから。
製造業の課題解決に繋げたい
―今後の展望をお聞かせください
弊社も製造業なので、製造業の気持ちはよくわかります。その気持ちを今回のロボットシステムに反映しています。
製造業にとって、ロボットも従業員の一員です。そして、ダイレクトに売り上げに貢献してくれます。
このロボットシステムを製造業へ向けて少しずつ広げて、みなさんの課題解決に繋げていきたいと思っています。
また、「GENTIL」というブランド名で医療分野にも進出しています。
これは3Dプリンティングの技術を軸に、“最新のテクノロジーを活用して新たな医療機器を開発し、世界にとどけていく”をテーマにしています。
医療従事者から求められるニーズ、患者さまから求められるニーズ、そして世界の医療現場から求められるニーズ、この3つのニーズを的確に捉え、迅速に対応し、まだ誰も手にしたことのない製品を生み出すことがGENTILの使命だと考えています。こちらもまだ始まったばかりですが、どんどん発展させていきたいです。
やりたいことを常に温めておく
―補助金を検討されている方へのアドバイスや一言、メッセージを頂けますでしょうか
「やりたいことを常にあっためておくこと」です。補助金に合わせて事業を始めるのでは間に合いません。常に先の方向性、ビジョンがあるべき、と思います。
↑社内に掲げられたスローガン
他にも手洗い場(社員が必ず目にする場所)に掲示板があったり、
出口に資格取得者のバッジが飾ってあったりと、至る所に工夫がされていました
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切削加工の総合エンジニアリング企業として、高度な切削加工技術を駆使し試作から量産までの高精度・高品質な部品加工と、それに用いる自社生産システムの設計製作を行っている。
また、「GENTIL」というブランド名で医療分野にも進出している。