活用された方の声
VOICE

1963年、製図台の製作を手掛けたことにより、昇降・スライド・角度調節・バランス(止めたい位置で止める)といった機構ノウハウを構築し、それから半世紀にわたりその技術を磨き上げてきた、コムラ製作所さま。
自社商品の電動昇降座椅子「独立宣言」シリーズは、発売からまもなく30年を迎えようとしています。
「独立宣言」の新たなモデル開発のために、どのように補助金を活用されたのか、お伺いしました。
—貴社の業種内容、活動について簡単に教えて頂けますでしょうか?
当社では、「こんな動きの製品は出来ないか?」といったお客様のご要望に対して、設計・開発から始まり試作・試験を経て量産化(部品加工~完成品組立~納品)まで一貫したモノづくりをおこなっております。
弊社独自の摺動(しゅうどう:滑らせて動かす動作)機構は、介護・リハビリ業界にとどまらず、医療病院向け、工場設備や住設機器まで幅広く提供しております。
例えば、皆さんが目にされるところですと、眼科診察用テーブルや病院で看護師が使用するナーシングカートにも弊社の摺動機構が使われており、眼科診察用テーブルに関しては、弊社製が日本国内シェア7割を占めます。
↑原点は製図台を製作したことから。
昇降・スライド・角度調節・バランス(止めたい位置で止める)といった機構ノウハウを構築し、それから半世紀にわたりその技術を磨き上げてきました。
「制度を利用しないともったいないですよ!」
—今回の補助金を知り、活用されるきっかけを教えて頂けますでしょうか?
4~5年前、補助金の説明会を聞きに行った際に、八尾市立中小企業サポートセンターのコーディネーターの方や、八尾市の方とお話する機会があったのですが、その時に「せっかく八尾市で事業をしているんだから、もっと八尾市の補助金やサポート制度を利用しないともったいないですよ!」と言われて…。その言葉はとても衝撃的だったんですけど、なるほどそうだなと思いました。
それまではコンサルにお願いしないとできないと思っていましたが、八尾市のサポート制度を利用して、弊社でも補助金対応のチームを編成して、補助金申請にチャレンジすることにしました。
自社でプロジェクトチームを結成!
―補助金申請のためのプロジェクトチームを立ち上げたんですか?
はい。経理部門、開発部門、営業部門等々、各部門から社員を募って、プロジェクトチームを作りました。
普段は別の部署で働いている者同士が一堂に会し、意見を出しながら、補助金申請という新たな目標に向かって試行錯誤する…コミュニケーションの場としても、とても有益な場だと思います。
ちょっと気の利いた製品をつくりたい
―補助金を活用して行われた事業、そしてその目的を教えて頂けますでしょうか?
自社商品の電動昇降座椅子「独立宣言」シリーズは、発売から30年で、多くの高齢者・障がい者の方にご利用頂いております。この超高齢化社会に対して、より安心・安全な商品を提供できるよう日々製品開発を進めており、昨年、この「独立宣言」の新モデル、「ムーブ」を開発しました。
この「ムーブ」も、高齢者、身体障がい者の方が安全安心に利用できる仕様になっており、スムーズな移動性と超低床タイプが特徴です。超低床なので、介護者が抱きかかえなくても自分で椅子に座りやすい仕様になっています。
また、バッテリー式の電源、挟み込み防止の安全装置、さらには取り扱って頂く事業者の方の腰痛予防まで考慮し、工具なしで3分割できるなど、“ご利用いただく誰もが使いやすい”点も特徴かと思います。介護者、高齢者、身体障がい者、だれもが喜んでもらえるような製品をつくりたい、ちょっと気の利いた製品を作りたい、そんな思いで作りました。
↑補助金を活用して開発した電動昇降座椅子「独立宣言」の新モデル、“ムーブ”
↑特別な工具も要らず、簡単に3分割できる。
介護者、高齢者、身体障がい者、だれもが喜んでもらえるような製品づくりを目指しています。
「軽量」と「強度」相反する二つの目標
―開発まで、どのような点に苦労されましたか?
「軽量」と「強度」二つの相反する目標を達成する事が難しかったです。
介護者がいなくても座りやすいように、座面を極限まで薄くしましたが、そうすると座面の強化は難しくなります。
また、よりコンパクトな椅子にしようとすると、今度ははさみこみ防止装置といった安全装置の設置が難しくなります。
毎日試行錯誤でした。
まずは試作品が出来上がったのですが、その際の重量は44.2キロでした。でも40キロは切りたい!更に試行錯誤を重ね、安全性は確保しつつ39キロのムーブが誕生しました。
↑「“軽量”と“強度”二つの相反する目標を達成する事が難しかった」と小村社長。
―補助金を活用する点で「こうしてほしい」と思うことについて教えてください
新製品開発にはかなりの時間を要します。補助金の「区分2:新事業展開、DX化枠」に関しては、募集が始まってから事業計画の提出まで、2か月弱しかないので、もう少し猶予があれば嬉しいなと思います。
丸一日かけて、全社員と対話する
―普段、仕事をされる上で心がけていることがありましたら教えていただけますか?
「社員とのコミュニケーションを大事にする」「社員一人一人の話を聞く」事です。
約90名もの社員がおりますが、毎日全社員と話をするのは難しいので、例えば賞与支給日には、社員一人一人に明細を手渡すので、そこで一人5分ほど時間をもらい、丸一日かけて、全社員との対話をしています。
時間はかかりますが、やっぱり直接話すことで、社員が考えていること、悩んでいること、挑戦してみたいこと、様々な意見をもらえます。
その時に聞いた貴重な意見を、急いでやるべきことと、できないことなど優先順位をつけて、フィードバックするようにしています。
↑「丸一日かけて、全社員と対話する。コミュニケーションの大事さを痛感する」と小村社長。
もっと早くサポートセンターを利用すれば良かった
―補助金を検討されている方へのアドバイスや一言、メッセージを頂けますでしょうか。
自社での商品開発は、やっぱり費用がかかってしまいます。なので、補助金は本当にありがたいです。
でも、最初から採択されるのは、難しいかもしれません。補助金を申請することは、あらゆる方向から製品や自社を見直すことになります。そしてそれは自信に繋がります。もし採択されなかったとしても、絶対次回に繋がります。
自分は早くサポートセンターを利用すればよかったと、今になって思います。
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実は、世の中にはコムラ製の製品が活躍している場がたくさんあります。