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利用者の声

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利用者の声

代表取締役 梶原 弘隆
  • 誓和工具株式会社
  • 代表取締役社長 楠本 正行
  • 八尾市福栄町2−15 Tel.072-996-6265
  • 昭和48年創業。
    作業工具メーカーとして設立し、表面を鏡のように美しく仕上げ、側面の加工を不要にした超シェービング技術や、これまでバラバラに作られていた複雑な形状の製品を一つの工程で成型する三次元鍛造という方法を開発し、大幅なコスト削減に成功した。
    現在は自動車部品や鉄道・航空関連製品なども手掛け、海外とも取引を行う。

「中小企業サポートセンターには様々な分野の専門コーディネーターがいます。」

2012年のある日、取引先の企業から相談を受けたんです。「こんな工具ができんか?」と。

洗面台の下部には、排水や給水のための管が沢山入っていますよね。この管を取り付けたり外したりするには、固定用の金具を回さないといけないのですが、これが非常に難しい。なんせ、管が複雑に配置されていますので、その狭い隙間から工具を入れて少しずつ回さなければならないからです。洗面台のメーカーによって金具の形状も異なりますから、それぞれに合った工具も必要です。そのため、作業員がこれらの金具を締めるのに、新品の洗面台で1日に3件がせいぜいで、10何年も使ってきた洗面台の固着した金具を外すとなると、1日に1件しかできないというのが常識でした。これを何とか出来ないか、と。
「力をかけなくても、狭い作業スペースでも、十分にネジを締めることの出来る工具」。そんな夢のような商品の開発に、当社は取り組むことになりました。

工具を回す方向と金具が回る方向とが90度に交わっていると、狭いスペースでも作業が出来ることから、平歯車と円盤状の歯車とが噛み合うフェースギヤでと考えていたんですが、力が伝わりにくい上に、うまく噛み合わなくて外れてしまう。社員の総力を尽くして改良を重ねるのですがうまくいかなくて、試作用の金型ばかりが増えていきました。言われていた期日はとうに過ぎ、取引先からは「まだか」と矢のような催促が来ます。焦りましたね(笑)。
切羽詰まって相談した大阪府立産業技術総合研究所で、「八尾の企業さんだったら、中小企業サポートセンターに行ってはどうですか?歯車に詳しいコーディネーターがいますよ。」と紹介を受けたのが2013年の夏でした。

中小企業サポートセンターでは、「べベルギヤ」と呼ばれる形状の歯車の提案を受けました。これだとスムーズに回転して動力をうまく伝えられるので、広い作業スペースから狭い箇所への締め付けが可能となります。何度も打ち合わせを重ねながら歯形も変え、歯数も当社で独自に開発しました結果、小さい力を大きな力へとスムーズに変えることが出来るようになりました。さらに、当社が特許を持つ「複合鍛造技術」により、機械加工品よりはるかに安く、しかも機械加工品と同等かそれ以上の強度を実現し、さらには、一つの工具であらゆるメーカーの金具に使えるようにもしました。

ベベルギヤ

こうして2013年12月、2年近くを費やして工具は出来上がり、「立形金具しめつけ工具セット」として、取引先のパンフレットの一画を飾ることになりました。レバーを前後に少し動かすだけで取付けや取外しが可能だと大反響を呼び、ヒット商品となっています。以前のギヤのままだったら、今でも製品は出来ていなかったでしょう。

立形金具しめつけ工具セット

中小企業サポートセンターには様々な分野の専門コーディネーターがいます。今回は歯車でしたが、別の相談事であれば別のコーディネーターが対応してくれますし、そこで解決できなければ他の機関や研究所に繋いでくれるのが助かりますね。

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