2024-04-24八尾あきんど起業塾・受講生の声 vol.20
八尾あきんど起業塾2023 ~出発編~ 受講生
中本 裕二さん 令和5年6月「Nstyle建築工房」を開業
●開業のきっかけ
商業高校の普通科を卒業した後、吊り橋を架ける土木の仕事を4年ほど経験した後、左官工事業だった父親の元で2年ほど働きました。父親は左官の他に大工もしていたため、建築の仕事全般に興味を持ち、独学で2級建築士の資格を取得しました。(ちょうど「住宅リフォーム番組」が流行っていた時期でした。)しかし、いざ資格を取得したものの、デスクワークが中心である建築士の仕事をすることに、疑問を感じるようになり、建築事務所で面接を受けたものの「やっぱり自分は現場の仕事がいい!」と考え、面接の合否が出る前に、辞退してしまいました。
その後、「現場の仕事」として建築会社の現場監督に就職しました。その会社は、公共工事、工場、一般住宅、新築、補修など、なんでも幅広くやっている会社でした。最初は工場の現場が多かったのですが、4年ほど経った頃、上司にデザイン性のある住宅を施工したい!と要望し、担当させてもらえるようになりました。
建築士(設計士・デザイナー)と一緒に進める仕事であり、とてもやりがいを感じました。現場監督というのは、建築士の作った図面どおりに工事がおこなわれているかをただチェックするだけではなく、実際に柱や梁が設置できるのか、ひさしの加重は問題ないのかなど、建築士のデザインを具現化するために、職人との間に立って通訳するような存在です。特にお客さんのこだわりが強く、建築士の図面だけでは工事が進まないような物件、そんな時に、自身が施工図という図面を作成し、お客さん・デザイナーとイメージをすり合わせ、その後に職人さんと打ち合わせ、指示を行います。お客さんの要望が、物理の法則から反していることもありますが、そんな時は、創意工夫をこらし、お客さんが納得されるようなデザインを提案しています。創意工夫を繰り返して、お客さんやデザイナーのイメージを具現化するのが我々の役割だと感じています。デザイン建築が自身の得意分野となり、実際に2棟、住宅リフォーム番組の物件も担当しました。難しいデザインを自身の創意工夫によって形にして、それをお客さんに感謝していただけた時は、とても嬉しく、やりがいを感じます。
建築会社に勤めて10年くらいたった35歳くらいの時、独立を考え始めました。というのも、どうしても会社に勤めていると、利益を確保するための動きが求められるからです。例えば、追加工事が発生した時にお客さんに見積もりを見せるときなどは、「こんなんついでにやってあげればよいのに」と思ってしまうのです。お客さんを喜ばせたいという想いが強くなると、どうしても会社勤めとのギャップが出てくるように感じていました。根本には、自身の父の影響があったのかもしれません。父は仕事ではお客に寄りそうタイプで、お客さんがすごく喜んでいたことが印象的でした。
とはいえ、会社から引き留めていただいたり、いろいろな影響も受けたことで、なかなか独立できずにいましたが、45歳になり、ようやく独立することができました。
●八尾あきんど起業塾を受講した理由
独立したタイミングで、前の会社の方から、東大阪の起業セミナーのチラシを紹介されました。そこで主催者に連絡してみたのですが、八尾で起業予定であることを伝えると、八尾にも起業支援の取り組みがあることを知りました。ちょうど八尾あきんど起業塾が受講生を募集していましたので、申込みすることにしました。
●受講してよかったこと
プレゼンが苦手だった自分にとって、プレゼンの準備やプレゼン自体の機会をいただけることは有難かったです。また、いろいろな経営者の体験談を聞けたため、貴重なインプットの機会となりました。
●さらに改善してほしいこと
一方で、自身はPCが少し苦手だったこともあり、スプレッドシートを使ったワークショップは少し難しく感じました。また、分野を絞ってデータを分析する手法がとても良かったのですが、自身がもう少しうまく活用できればよかったと感じました。
●開業から現在までの状況
令和5年6月に開業した後も、建築士さん等から仕事をご紹介いただけており、おかげさまで忙しくさせていただいています。「難しいデザインの建築でも、言えばなんやかんや答えてくれる」という印象を持っていただけていること、また、「直接、新規のお客のところへ行っても営業対応ができる」という評価をいただいていることが、自身の強みだと思います。加えて、経験をつむことで、職人さんに確認しなくても施工の可否がある程度わかるようになってきたため、職人への確認時間ロスを短縮できる、というのも、建築士さんに信頼いただける理由だと感じています。
忙しくしているので「人を雇ってはどうか」とよく言われるのですが、雇用してしまうと、その人やその人の家族も守る必要があり、どうしても商売っ気をださなくてはいけなくなります。自分がやりたい、お客さんの満足度を追求するスタイルでは、自身一人の稼ぎは出せても、従業員の分は確保しきれないと思っていますので、当面は一人で進めていこうと考えています。商売っ気を出さないことで、お客さんを紹介いただき、次の仕事に繋がることもあるので、お金を追いかけすぎないことも大切だと感じています。
●開業までにやっておけばよかったこと
起業するまでにやっておいてよかったことになりますが、前職は社員教育がしっかりしており、ビジネスマナーなどをしっかり学べたことは良かったと感じています。当時は「こんなん意味あるのかな」と思っていましたが、独立して接客や営業も一人で行うため、しっかりと学んでおいてよかったと感じています。どうしても現場の仕事をするにあたっては、その部分がおろそかになりがちですが、お客さんが言いやすい環境を作ってあげる、聞きやすいように適度な距離感を作ってあげる、お客さん毎にスタンスが異なるため柔軟に対応してあげる、といったことは大切にしています。「フレンドリー」をはき違えた対応をしてしまうと、苦情に繋がる可能性もあるので、その点には注意しています。
●これから開業される方へのメッセージ
「仕事」というよりも、「好きの延長」を見つけられれば早いのではないかと思います。仕事という認識だと、しんどい時に踏ん張れないですし、やっていて楽しいのであれば、苦ではなく、なんでもできるのではないかと感じています。お金だけを追いかけると、壁にぶちあたったときに乗り越えられないのではないでしょうか。
これまでに自身の仕事で、お客さんが涙を流して喜んでくれるようなこともありました。これからもそんなふうに、お客さんに喜んでもらえるような、寄り添える工務店でありたいと考えています。
八尾あきんど起業塾についてはこちら
中本 裕二さん 令和5年6月「Nstyle建築工房」を開業
●開業のきっかけ
商業高校の普通科を卒業した後、吊り橋を架ける土木の仕事を4年ほど経験した後、左官工事業だった父親の元で2年ほど働きました。父親は左官の他に大工もしていたため、建築の仕事全般に興味を持ち、独学で2級建築士の資格を取得しました。(ちょうど「住宅リフォーム番組」が流行っていた時期でした。)しかし、いざ資格を取得したものの、デスクワークが中心である建築士の仕事をすることに、疑問を感じるようになり、建築事務所で面接を受けたものの「やっぱり自分は現場の仕事がいい!」と考え、面接の合否が出る前に、辞退してしまいました。
その後、「現場の仕事」として建築会社の現場監督に就職しました。その会社は、公共工事、工場、一般住宅、新築、補修など、なんでも幅広くやっている会社でした。最初は工場の現場が多かったのですが、4年ほど経った頃、上司にデザイン性のある住宅を施工したい!と要望し、担当させてもらえるようになりました。
建築士(設計士・デザイナー)と一緒に進める仕事であり、とてもやりがいを感じました。現場監督というのは、建築士の作った図面どおりに工事がおこなわれているかをただチェックするだけではなく、実際に柱や梁が設置できるのか、ひさしの加重は問題ないのかなど、建築士のデザインを具現化するために、職人との間に立って通訳するような存在です。特にお客さんのこだわりが強く、建築士の図面だけでは工事が進まないような物件、そんな時に、自身が施工図という図面を作成し、お客さん・デザイナーとイメージをすり合わせ、その後に職人さんと打ち合わせ、指示を行います。お客さんの要望が、物理の法則から反していることもありますが、そんな時は、創意工夫をこらし、お客さんが納得されるようなデザインを提案しています。創意工夫を繰り返して、お客さんやデザイナーのイメージを具現化するのが我々の役割だと感じています。デザイン建築が自身の得意分野となり、実際に2棟、住宅リフォーム番組の物件も担当しました。難しいデザインを自身の創意工夫によって形にして、それをお客さんに感謝していただけた時は、とても嬉しく、やりがいを感じます。
建築会社に勤めて10年くらいたった35歳くらいの時、独立を考え始めました。というのも、どうしても会社に勤めていると、利益を確保するための動きが求められるからです。例えば、追加工事が発生した時にお客さんに見積もりを見せるときなどは、「こんなんついでにやってあげればよいのに」と思ってしまうのです。お客さんを喜ばせたいという想いが強くなると、どうしても会社勤めとのギャップが出てくるように感じていました。根本には、自身の父の影響があったのかもしれません。父は仕事ではお客に寄りそうタイプで、お客さんがすごく喜んでいたことが印象的でした。
とはいえ、会社から引き留めていただいたり、いろいろな影響も受けたことで、なかなか独立できずにいましたが、45歳になり、ようやく独立することができました。
●八尾あきんど起業塾を受講した理由
独立したタイミングで、前の会社の方から、東大阪の起業セミナーのチラシを紹介されました。そこで主催者に連絡してみたのですが、八尾で起業予定であることを伝えると、八尾にも起業支援の取り組みがあることを知りました。ちょうど八尾あきんど起業塾が受講生を募集していましたので、申込みすることにしました。
●受講してよかったこと
プレゼンが苦手だった自分にとって、プレゼンの準備やプレゼン自体の機会をいただけることは有難かったです。また、いろいろな経営者の体験談を聞けたため、貴重なインプットの機会となりました。
●さらに改善してほしいこと
一方で、自身はPCが少し苦手だったこともあり、スプレッドシートを使ったワークショップは少し難しく感じました。また、分野を絞ってデータを分析する手法がとても良かったのですが、自身がもう少しうまく活用できればよかったと感じました。
●開業から現在までの状況
令和5年6月に開業した後も、建築士さん等から仕事をご紹介いただけており、おかげさまで忙しくさせていただいています。「難しいデザインの建築でも、言えばなんやかんや答えてくれる」という印象を持っていただけていること、また、「直接、新規のお客のところへ行っても営業対応ができる」という評価をいただいていることが、自身の強みだと思います。加えて、経験をつむことで、職人さんに確認しなくても施工の可否がある程度わかるようになってきたため、職人への確認時間ロスを短縮できる、というのも、建築士さんに信頼いただける理由だと感じています。
忙しくしているので「人を雇ってはどうか」とよく言われるのですが、雇用してしまうと、その人やその人の家族も守る必要があり、どうしても商売っ気をださなくてはいけなくなります。自分がやりたい、お客さんの満足度を追求するスタイルでは、自身一人の稼ぎは出せても、従業員の分は確保しきれないと思っていますので、当面は一人で進めていこうと考えています。商売っ気を出さないことで、お客さんを紹介いただき、次の仕事に繋がることもあるので、お金を追いかけすぎないことも大切だと感じています。
●開業までにやっておけばよかったこと
起業するまでにやっておいてよかったことになりますが、前職は社員教育がしっかりしており、ビジネスマナーなどをしっかり学べたことは良かったと感じています。当時は「こんなん意味あるのかな」と思っていましたが、独立して接客や営業も一人で行うため、しっかりと学んでおいてよかったと感じています。どうしても現場の仕事をするにあたっては、その部分がおろそかになりがちですが、お客さんが言いやすい環境を作ってあげる、聞きやすいように適度な距離感を作ってあげる、お客さん毎にスタンスが異なるため柔軟に対応してあげる、といったことは大切にしています。「フレンドリー」をはき違えた対応をしてしまうと、苦情に繋がる可能性もあるので、その点には注意しています。
●これから開業される方へのメッセージ
「仕事」というよりも、「好きの延長」を見つけられれば早いのではないかと思います。仕事という認識だと、しんどい時に踏ん張れないですし、やっていて楽しいのであれば、苦ではなく、なんでもできるのではないかと感じています。お金だけを追いかけると、壁にぶちあたったときに乗り越えられないのではないでしょうか。
これまでに自身の仕事で、お客さんが涙を流して喜んでくれるようなこともありました。これからもそんなふうに、お客さんに喜んでもらえるような、寄り添える工務店でありたいと考えています。
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