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レポート

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2024-04-04八尾あきんど起業塾・受講生の声 vol.19

八尾あきんど起業塾2023 ~出発編~ 受講生
清水 麻衣 さん    令和5年6月「JollyJolly」を開業

● 開業のきっかけ
 高校時代のアルバイト時代に、お客さんの嬉しそうな様子を見たことをきっかけに、20歳から5年ほどパン業界で働きました。その後、結婚や出産を経て八尾に住むようになり、少しずつイベント出店を行うようになりました。そんなタイミングで、初期費用のかからない居抜き物件の情報を知り「パン屋をしたい」という勢いだけですぐに出店を決めました。今思うと、この時はコンセプトも目標もなく、ただただパン屋をしたい気持ちだけで始めたように思います。
 出店後は、自転車での移動販売、店頭販売、飲食店への卸、に加えて、卸売市場内でのリヤカー販売を実施しました。勢いで始めた事業でしたが、リヤカー販売が話題を呼び、TV取材を受ける等、忙しい日々を過ごしていました。(従業員も最大20名抱えていました。)
 最初の2年ほどは「やりたくてやっている」という想いを持って経営できていましたが、3年目くらいから、日々忙しすぎて、パンを焼く楽しさややりがいを見失い、心身共に疲労する日々を過ごすようになりました。十分な利益も確保できていなかったように思います。
 「もうパン屋はいいかな」という想いにかられるようになり、結局その店舗は約7年半経営した後に売却し、その後は自問自答する日々を約4年間過ごしました。しかしその4年間は、今となっては自分の財産になっています。というのも「これからはちゃんと妻として、母として家族を支えよう」という想いを抱えながらも、自分の根底には、やっぱり「パン屋でありたい」という想いがあることに気付けたからです。酵母がプクプクと起き始めるように、その想いは日々強くなっていき、蓋ができない強さにまで成長しました。そしてある日、家でパンを焼いた時、その楽しさや、パンを焼いて喜んでくれる人がいる幸せに、改めて気付くことができました。
 そのため、これからは、もう心を亡くすような働き方はせず、自分が楽しくて、家族(4人の子ども、企業経営者の夫)も周りの人も、お客さんも幸せなパン屋の形を探そう、そもそも自分が最高だと思える生き方を探そう、と考えるようになりました。広島にあるパン屋さんの「パン学校」の講義もうけたことで、さらにその想いは強くなりました。また、「もっとパンを知ろう」と考え、農家さんやパン屋さんをめぐる日々が始まりました。

●八尾あきんど起業塾を受講した理由
 夫が「みせるばやお」の会員だったため「八尾あきんど起業塾」のチラシを家に持って帰ってきてくれました。実は、最初は市内での店舗出店を目指す「実践編」に応募したのですが、自身の状況等も考え、最終的には出発編の受講を決めました。

●受講して良かったこと
 自分自身にとことん向き合う機会をいただけたことが良かったと感じています。時間と場所を用意いただくことで、自身が「やりたいこと」に集中して考えることができました。また、過去の経験を財産と思えるようになったことや、ビジネスプランの一番大切なコンセプト作りにおいても、きっかけをいただいたと感じています。
 加えて、同期が20名ほどいるため「こんなに一気に見てもらえるのだろうか」と最初は不安を感じましたが、しっかりと一人一人に向けてアプローチいただけたため、有難かったです。

●さらに改善してほしいこと
 集団形式のワークショップによりプランの大枠ができ始めたタイミングで、個別面談をしていただく機会があるのですが、個別面談の回数がもう少し多くあると有難いと感じました。

●開業から現在までの状況
 働き方を考え、販売するのはカンパーニュのみに絞りました。古代から続く伝統製法で、乳酸菌の働きにより体への負担が小さく、抗菌作用により日持ちし、仕入れも製造も楽なため、体にも心にもゆとりが持てることが決め手でした。一方で、サービスには付加価値を付けたいと考えています。具体的には、「パン×コーチング」。パンを買うだけではなく、場所を楽しみながら、気楽に学んで体験し、生き方を考えられるようなパン屋さんです。自身のこれまでの失敗や挫折、葛藤の経験を活かして、自分の幸せがわからない人や、行きたい方向へ行けなくて苦しい人、理想の人生へ踏み出そうとする人に寄りそって応援するようなサービスを想定しています。屋号の「JollyJolly」は「おいしい、楽しい、陽気な」といった明るい言葉。いつも「楽しさ」を大事にしたいという想いを込めています。
 今年から学び始めたコーチングに先んじて、昨年度からは八尾市内でマルシェ出店を始めています。併せて、飲食店への卸や、移動販売なども開始し、ネット販売も検討するなど、少しずつ販売ルートを増やしています。
 徐々にお客さんに認知していだけるようになった現在、出店場所も探し始めました。来てくれた方が気持ちよく感じていただけるような環境の山手での出店場所を探しています。また、体によく、近くの食材を使った、地域の循環の一つになるような店にしたいと考えています。そのため、カンパーニュも、自然のエネルギーを取り込んだ「薪窯」で焼くことを想定しています。「パン×コーチング」で共に学び、夢を語り合える天空の薪窯パン屋さん、オープンに向けて準備を進めています。

●開業前にやっておけばよかったと思うこと
 どうしてお店をやるのか、考える必要はあると感じています。自分にとって、お店をやるのは「幸せになるため」。幸せとは人によって違いますし、家庭や子ども、お金や休日等、自分自身で理想のバランスを見つけて、それを実現するためにやることが大切だと感じています。

●これから開業される方へのメッセージ
 たとえば起業塾にしても、参加すれば「目指すところへ連れて行ってもらえる」と考えるのは危険だと思います。自分自身の中にあるものを、いかに引っ張り出すか、探し出すか、という機会だと思うので、あくまでも自分自身が「目指すところへ向かうための手段」として考え、自分自身にとことん向き合う覚悟が必要だと感じています。

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写真1
清水 麻衣 さん

写真2
カンパーニュ

写真3
バゲット

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